なぜ「姿勢」が見た目年齢に影響するの?
美しい姿勢は、顔の表情やボディラインを引き立て、若々しい印象を与えてくれます。
近年の研究では、「姿勢」が体型以上に「美しさ」や「若々しさ」の評価に影響することが示されています(文献1)。
特にスマートフォン操作時などに見られるスマホ姿勢では、背中が丸まり、肩が内側に入ることで、顔のたるみや首のシワが目立ちやすくなり、老けた印象を与えてしまいます。
このように、姿勢が悪いと、たとえ痩せていても見た目の印象が損なわれてしまうことがわかっています。
現代病ともされる「スマホ姿勢」とは?
現代人に急増しているのが、スマートフォン操作時の姿勢(いわゆるスマホ姿勢)です。
電車やタクシーでの移動中など、多くの人が無意識のうちに、頭を前に突き出し、首が過度に前屈し、肩が内側に丸まり、背中が丸くなる姿勢をとりがちです。
医学的にはこの姿勢を「フォワードヘッドポスチャー(頭部前方突出姿勢:forward head posture)」と呼びます。
この姿勢は、肩こりや首こり、呼吸の浅さ、慢性的な疲労感の原因となるほか、見た目年齢を上げる大きな要因にもなります。
さらに、この姿勢が長時間続くことで首や肩こりの悪化にもつながります。
Hansraj(2014)の研究によれば、頭部が60度前方に傾いた場合、頸椎には約27kgもの荷重がかかると報告されています。(文献2)
本来、頭部の重さは約4〜6キログラム程度ですが、スマホ姿勢ではその数倍の負荷が首や肩周囲の筋肉にかかり続けることになるのです。
このように、スマホ姿勢が長時間続けば続くほど、これらの不調や症状が悪化するリスクが高まります。
美しい姿勢の鍵となるのが、「背骨」と「肩甲骨」。
私たちの姿勢は、単に「背筋を伸ばす」という意識だけでは整いません。
本当に美しい姿勢を保つためには、背骨(特に胸椎)と肩甲骨の柔軟性と滑らかな動きが不可欠です。
胸椎は、背骨の中でも胸の高さにあたる部分であり、本来は自然な弯曲と十分な可動性を備えています。
しかし、この胸椎の柔軟性が低下すると、背中が丸まりやすくなり、猫背姿勢や首・肩こりの原因となってしまいます。
一方、肩甲骨は肋骨の上に浮かぶように存在する、可動性の高い骨です。
しかし現代人の生活習慣では、長時間のデスクワークやスマホ操作によって、肩甲骨の動きが低下し、その位置が固定化しがちになります。
肩甲骨には、首や腕、背骨とつながる多くの筋肉が付着しています。
そのため、肩甲骨の機能や柔軟性が失われると、姿勢が崩れやすくなるだけでなく、呼吸が浅くなる・腕が動かしにくくなる・疲れやすくなるといった機能的な影響も現れやすくなります。
逆に、胸椎と肩甲骨のしなやかな動きを取り戻すことで、自然と胸が開き、首がすっと伸びた美しい姿勢が実現できます。
これは、見た目が若々しくなるだけではなく、肩こりや首こりの予防・改善にもつながる重要なポイントなのです。
背骨と肩甲骨を整える簡単エクササイズ
実施方法
- 椅子に浅く座り、両手を胸の前でクロスして背中を丸めます。
- 胸を開き、腕を外側にひねりながら肩甲骨を寄せます。
- 胸を開いた際に肩甲骨を軽く寄せ、顎を引くように意識しましょう!
- 動きをコントロールしながら5〜10回程度行いましょう。
参考文献
- 菅原 徹・山口 遊子・宮崎 正己・岸本 泰蔵・上家 倫子・黒野 寛馬(2018)「女性の体型と姿勢の関係が美的印象に及ぼす影響」日本感性工学会論文誌, Vol.17 No.4, pp.499-505.
- Hansraj KK. (2014).Assessment of stresses in the cervical spine caused by posture and position of the head.Journal of Surgical Technology International, Vol.25, pp.277–279.