「糖質制限」や「置き換え」だけでは失敗してしまう理由
近年ブームとなった糖質制限や置き換えダイエット。確かに短期間で体重は減りますが、多くの人がその後にリバウンドを経験します。その大きな原因は、筋肉の減少による基礎代謝の低下にあります。
私たちの基礎代謝の約20%以上は筋肉が担っており、40代以降は加齢により筋肉量が年間1〜2%ずつ減少していくと言われています(文献1)。 筋肉が減れば、同じ生活をしていても消費エネルギーが減り、太りやすい体へと変化していきます。
筋肉を維持することがリバウンドを防ぐ鍵
筋肉を維持するために最も重要なのが、「十分なたんぱく質を摂ること」。
一般的に、成人女性のたんぱく質推奨量は1日50g程度ですが、ダイエット中や40代以降では体重1kgあたり1.2〜1.5gの摂取が理想的です(例:体重60kgの方で約72〜90g)。
この量を食事だけで補うのは難しく、プロテインで補うことがもっとも効率的です。
「飲むタイミング」こそ、筋肉をつくるポイント
よく「運動後30分以内にプロテインを飲むのが良い」と言われます。確かに、運動をしたあとの体は筋肉の合成が活発になっており、このタイミングでたんぱく質を摂取することで、筋肉が効率よく育つとされています(文献2)。
でも、こう思ったことはありませんか?
「私はあまり運動していないけど、プロテインって飲む意味あるの?」
そんな方におすすめしたいのが、朝のプロテイン習慣”です。
睡眠中、私たちの体は絶食状態にあり、朝には筋肉が分解されやすい状態になっています。
このタイミングでたんぱく質をしっかりと摂取することで、筋肉の分解を防ぎ、1日の代謝を高めることができるのです。
実際にたんぱく質を1日3食均等に分けて摂取したグループは、夕食にまとめて摂ったグループに比べて筋肉合成が25%も高かったという報告があります。(文献3)
つまり、「朝からしっかりたんぱく質を摂る」ことこそ、運動していない人が筋肉を守るための有効なアプローチなのです。
40代から増える「隠れ栄養失調」に要注意!
体型がスリムでも、体の中では栄養不足が進行している人が少なくありません。
厚生労働省の国民健康・栄養調査(2021年)では、40〜60代女性のたんぱく質摂取量が推奨量を下回っている傾向が指摘されています。(文献4)
たんぱく質が不足すると…
- 疲れやすくなる
- 肌や髪にハリがなくなる
- 筋力・免疫力の低下につながる
こうした「隠れ栄養失調」は、痩せにくさだけでなく、健康の質そのものを左右します。
まとめ:「減らす」よりも「守る」ことが大切!
40代以降の正しいダイエットでは、減らすことよりも守ることが、本質的な成功のカギになります。
筋肉を守ることで、基礎代謝を維持し、リバウンドを防ぐことができます。
そのために必要なのが、正しい知識と、毎日のたんぱく質習慣です。
筋肉を守るために、ぜひプロテイン習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか?
参考文献
- Deutz NEP, et al. (2014). Protein intake and exercise for optimal muscle function with aging: Recommendations from the ESPEN Expert Group. Clinical Nutrition, 33(6), 929–936.
- Wolfe RR. (2006). The underappreciated role of muscle in health and disease. The American Journal of Clinical Nutrition, 84(3), 475–482.
- Mamerow MM, et al. (2014). The Journal of Nutrition, 144(6), 876–880.
- 厚生労働省. (2021). 令和元年国民健康・栄養調査報告. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf